デジタル時代の物欲(カメピより再掲)

imgここでいう物欲は、物質というかマテリアルというか、
そういう手に持ったり、触ったりできるモノへの欲求のこと。
銀塩写真で、撮影から現像、プリントまでをするようになって、あらためてデジタルな世界の物質欲ってどうなんだろうとふと思った。
液晶画面とマウスという、視覚と限られた触覚だけでも、
確かに、硬いやら柔らかいやら、むにゅっとしてるやら、
擬似的にモノの感触を再構成して感じることができるが、所詮、ほんとに手に持って眺める感覚の豊かさには
及ばない。
ということは、そこで満たされない物質欲は、デジカメに
おいては、やはり、カメラボディやレンズへと集中してしまうのではないか?
それも、異常な愛情として。

デジタル写真のプロセスにおいては、プリントでさえ非マテリアルで
済ますことが多いことを考えると、やはり唯一のマテリアルは、
カメラとレンズということになるんじゃないかなぁと思うわけです。
一方、銀塩写真のプロセスでは、現像で酢酸の臭いを嗅ぎ=^_^;=、
出来上がったネガを手にとって眺めたり、印画紙に焼いて
手にとってしげしげと眺めたりと、すべてのプロセスでマテリアルが
存在しており、フィルムやら印画紙やら、それに付随する道具たちが
あって、カメラやレンズだけを偏愛することはないのではなかろうかと。

なぁーんてことを考えつつ、
ステンレスタンク攪拌のゴボゴボという音と感触を
楽しみながら現像しているのです。=^_^;=