これは定年前からのキャッシュフロー計画に組み込んでいたことですが、定年退職後にいわゆる終の棲家というやつへ移ろうかと思っています。これまではずっと賃貸マンションだったのですが、ここらで持ち家へ移行した方がいいだろうという判断です。よく、持ち家か賃貸かと話に出ますが、私の場合は、先がどうなるかわからないのに早期にローン組んで縛られるのは嫌だなぁと思ったまま、結局30年近く賃貸暮らしをしています。しかもずっと同じマンションという….。そんなことなら、ワンルームマンションでも買っておけば良かったのでは?という考えもあるでしょうが、これは後からならどうとでも言える部類の話です。住宅ローンなんかを組んでしまえば、生活はもちろん普段の思考傾向に確実に影響を与えます。まぁ、その影響がどんなものになったのかは、なんともわからないのですが。ただ、定年退職後の現時点では、持ち家に移るというのは悪くない選択だと思っています。「まだ先のことはわからないし」、という地点は過ぎてしまったということです。
キャッシュフローに組み込んでいたと書きましたが、狭小平屋か中古マンションを買える程度の資金を安全資産として確保していた程度です。その頃の私は、繁華街に近い交通の便が良く、かつ自転車での遠乗りに快適な道(主に川沿い堤防沿いの道)へのアクセスが良いところに移ろうと漠然と考えていました。ところが、いざ定年退職して、さらに両親も失って実家をどうするかという問題に直面して、ふと、実家を取り壊して平屋に建て替えて住むのもいいかなと思い始めます。別段普通の考えのように思われるでしょうが、実家は郊外都市の駅から2,30分のところにあり、それほど交通の便がいいわけではなく、当然繁華街へ出るには1時間以上かかる場所でした。そう、通勤が苦痛でしかなく、早々に実家を出て賃貸暮らしを選んだわけです。なので、実家を建て替えて住むという発想は、無意識に排除していた感じです。
そんな私が実家の建て替えに方針を変えたのは、先祖の墓が同じ市にあることもありますが、その場所が定年後の住みかとしては、全然悪くないところだと気が付いたからです。毎日通勤するわけでもないですし、繁華街へ遊びに行くとしても週に1回行けばいい方でしょう。それよりも、静かで治安が良く、近くに病院やスーパーマーケットがある環境の方を優先すべきだと認識を改めたわけです。そういう目で見直すと、実家は全く持って条件に適った土地でした。また、自転車で遠乗りに出かけやすいという条件は満たされていました。そしてなにより、土地を買う資金が要らないという大きなアドバンテージがありました。しかも、ある程度住環境を知っている土地です。そこからは、実家を建て替えて住む方向にシフトしました。
あと問題があるとすれば、それは資金の問題でした。実家は耐震基準前の2階建てなので、建て替えとなると、いったん解体してから注文住宅で新築することになります。数年前ならまだ余裕があったかもしれませんが、コロナとウクライナ危機、そして昨今の円安、人手不足が問題化した現在、果たして準備しておいた手元資金で足りるのかという問題です。そんな不安を抱きながら、実家の片づけを少しづつ進める傍ら、試行錯誤で家づくりの準備に取り掛かります。これまで、一戸建ての家づくりなんぞ全く眼中になかった私にとって、それは紆余曲折と驚きに満ちた道行となったといっても過言ではないです。そして、この時ほど、完全無職となって自由にできる時間があることをありがたく思ったことはありませんでした。現在、ようやく家づくりを始めるにあたっての依頼先を決めるところまでやってきました。ここからは、少しタイムラグを置きながら、ちょっとづつ定年後の家づくりについても書いていこうと思います。