以前に、定年後の必須スキルの一つと私が考えている調理スキルを学ぶため、料理教室(男性専用コース)に定年前から通ったことを書きましたが、そこで得たものについてその後にいろいろ考えたりしたので、補足で書いておきます。
まず、私が通ったのはベターホームというおそらく料理教室業界では最大手のところです。教室には、男女混合コースと男性専用コースというのがあるのですが、男女混合コースの方は混合というよりは、男性も参加できますといった趣きで、ちらっとそれらの教室を眺めたところでは、男性はいても一人か二人という状況でした。男女混合クラスには一度だけ無料チケットで参加したことがあります。6人ぐらいの少人数クラスだったので、特にどうこういうこともなかったですが、気を遣うのは確かです。なので男性専用クラスの方が気楽でいいのは事実です。男性専用クラスには3年間通ってましたが、8割ぐらいはシニアでやはりリタイアされた方が多かったです。そのほかは、料理に興味のある人とか家事の補助のための子育て世代の方なんかもいました。
私が通った男性専用コースは、ひとクラスの参加人数は4人~10人といったところでした。男女混合クラスよりは確実に少なかったです。参加人数に合わせて、講師の方と補助になるアシスタントの方が付きます。通常、二人一組で調理するので、一つの調理台に4人です。最初に講師の方の説明と調理手順及び実演があります。そのあと、受講者が実習に入るのですが、だいたい、食材準備と下ごしらえの前半部分とそのあと最後までの調理を行う後半部分に分かれるパターンが多いです。前半は各自が自分の分の食材を準備します。後半は、二人一組で調理工程を進めます。なので鍋やフライパンなどの調理器具は二人で一つです。実習時は、講師の先生やアシスタントの方が適宜見て回ってくれます。できあがったらみんなで試食、そしてあと片づけです。ちなみに、全体人数が少ない時は一つの調理台を2人で使えます。調理台もコンロも通常4人で使用するところを二人での使用になるので、結構うれしいです。キッチンを広々と使える感じですね。もうこれだけでウキウキだったりしますね。「広いキッチンは正義!」という感覚を身をもって感じることができます(笑)。ただ、その二人のうちの一人とかがキャンセルなどで一人で全部やらないといけないことになると、作業量が多くなってかなり大変です。料理教室なので自分のペースではできないので、なんていうか、追い立てられてる感じになるんですよね。
私が通っていたのはコロナ前~コロナ初期のころでした。コロナ前は、結構人数も多く男性受講者も増加傾向に感じましたし、男性専用枠のある対象コースの種類も、基本コースだけでなく応用コースまでと増えつつありました。が、コロナが始まるとだんだん減ってきて、そのうち料理教室自体が一時休止になりました。現在はどんな状況かわかりませんが、先日ネットで教室のスケジュール状況を確認したら、男性専用コースも和洋中の基本コースで復活してましたので、また徐々に増えてきているのではないでしょうか。ちなみに、男性専用コースがある教室は限られているようで、首都圏と大阪の一部教室だけのはずです。また、対象コースも首都圏が最も種類が多いです。私は大阪梅田の教室に通っていたのですが、首都圏でしか開講していない男性専用コースが結構ありました。参加人数が少ないのは教室側にとっては良くないでしょうが、受講する方にとっては自分で手を動かせる機会が増えるので、技術習得には有利です。しかし、コロナ禍も激しくなってきた頃は、アシスタントなしで講師だけということもありましたが、これはさすがに欠点が多かったです。アシスタントの方は、やはり最低一人は必要だと思います。まぁ、コロナ禍以前はそんな状態は一度もなかったので、今は正常になっているかと思います。ベターホームの方はみなさんプロで能力が高いです。なので講師+アシスタントで最もパワーが発揮されると思ってます。
ベターホームでは、ネットで教室の予約や振替、スケジュールや空き状況を確認できて便利でした。まず会員に登録し、それから好きな教室を申し込むシステムでした。カリキュラムは半年ごとの単位になっていて、基本的には月に1回のペースでした。都合の悪くなったときは2年か3年だか忘れましたが、翌年の同じコースに振り替えるなんてこともできました。基本的に各コースで作る献立は毎年同じです。私が受講しはじめた頃に献立が変わったと聞きましたので、何年かするとまた変わるのかもしれません。というか、献立変わったら、また受講しようかなとか思ってたりします。あと会員になると、ベターホームオリジナルの調理器具や食材なんかも購入できます。私は包丁買いましたね。大きさが程よくて、一つでいろいろ使えます。今も使ってます。
ベターホームの料理教室に申し込む前は、どんな料理教室があるのかいろいろネットで探したり調べたりしてましたね。結局ベターホームが一番私の要望に合っていたので決めたのですが、ポイントは以下の三つ。
- 男性専用コースがある
- 講師が料理人とかでなく女性の専任講師である
- 対象メニューが一般的な家庭料理である
この三つがポイントだったのは、料理を趣味ではなく普通に家事スキルとして習得したかったからです。凝った料理を手間暇かけてこだわって作るのではなく、毎日食べるものを普通においしく作れればよかったからです。通った後の感想ですが、調理スキル以外にも得るものが多かったなと思ってます。食材の扱い方や調理法とかはもちろんですが、後片付けの習慣化とか調味料の計量とか。そう、調味料はきちんと計量するようになりましたね。以前、調味料の調合の話をしましたが、この計量ってのも大事です。そもそも、どのくらい使ったかを把握していなければ、その結果としての味を保持することができませんし、味の調整にいたっては計量もせずにどうやってやるの?って感じです。作る料理の量や食材変更を伴う場合は、調味料の量や配合を調整する必要があります。きちんと計量してこそ、それを変更した場合の影響度や効果などを判断することができます。そして、この「計量する」ってことも他の分野へ及ぼす影響が大きいもののひとつでしょうか。まず、ハイボールとか作る時にも計量するようになりました。いやぁ、そんなん適当でいいでしょと思われるかもしれませんが、一度計量して作るようになると、薄かったり濃かったりは我慢できなくなります。自分に合った濃度ってあるんですよ。もちろん、その時の気分で調節できるのも計量あってこそです。あと、私はウイスキーもブレンドしたりするので、その配合時にも便利です。で、最近は、「計量計測」って科学にとって一番元になる大前提だよねと実感をともなって思うようになっております。(って、この話はまた別途で。)まぁ、いろいろ書きましたが、料理教室に通ってみたことによって得た知見としてはですね、
家事(調理)はイノベーションの宝庫だ!
ってことですね(笑)。前回書いた「調合」もそうですが、とにかく探求心を刺激されます。ま、少なくとも思考は柔軟になります。とはいえ、私にとっては料理はあくまで家事なので、そこで得た発想の素やヒントは趣味の領域で発揮させることになりますが。そうそう、現像やプリントなどウェットプロセスを経るフィルム写真も料理と通じるものがあると感じます。これは前々からうすうす感じてたことです。とはいえ、いろいろ探求したくなるのはやはりフィルム写真の方ですね。このあたりが、家事と趣味の違いなんでしょう。というわけで、私は定年直前になってから料理教室に通いましたが、ビジネスマンや研究者が一度体験するのも得るものが多いと感じました。「ビジネスマンのための料理教室」とかあってもいいくらいです。現役時代の自分に囁けるなら、「料理教室面白いよぉ~。男性専用コースもあるよぉ~。酒の肴作れるよぉ~。」とそそのかしてやりたいです(笑)。