男の料理教室 ~自分でごはんをつくる~

くぐり道 #163626

 定年退職前からこれだけは定年後の必須スキルだと考えていたものがあります。それは調理スキル。自分でごはんを作れるスキルです。その理由は、食費の節約、ではなく、ようやくごはんをつくる楽しさを享受できるぞ、と思っていたからです。現役時代は、若い頃も含めて、自炊する時期があったり外食中心になったりと、食生活は仕事の状況やら趣味への没頭具合に影響されていました。残業が多くて食って寝るだけの状態では、どうしても外食や弁当買ってきて食べるという食生活でしたし、趣味に入れ込んでいた時期も、そっちへ時間を使いたいので自炊するということもしませんでした。一方で、余裕がある時期には、一定期間自炊とかしていたりしました。自炊といってもインスタント食品を織り交ぜての簡単なものでしたが、自炊に限らずもともと自分で手を動かして何かをするというのがたまらなく好きな性格なので、仕方なく自炊なんてことはなく、できるなら自炊したいなぁと思っていました。そんなわけですから、定年後は絶対自分でごはんをつくるんだと思い望んでいたわけです。

 そんな私が定年退職3年前から通いだしたのが料理教室です。自己流じゃなくて、基本的なスキルは身に着けておきたいという考えからです。なので、いわゆる「男の料理」とかには全く興味はなく、通ったのはベターホームの料理教室です。ふつうに家事スキルとして調理技術を身に着けたかったからです。

 私が通っていた頃(コロナ禍前)は、入門コースはもちろん、それ以外にも和洋中の基本と応用コースに男性のみの教室というのがあり、それを順番に選択して3年間通いました。考えていることは同じなのか、リタイアされた方とか結構多かったです。流れるような包丁さばきとか、ほれぼれする鍋振りとかとは程遠いですが、おかげでなんとか、基本的なスキルは得ることはできました。それに加えて、なぜか食後の後片付けが全く苦にならなくなりました。料理教室では、試食後にみんなで食器や器具を洗って終了となるのですが、これを繰り返したおかげなのかどうかわからないのですが、食器洗いが苦にならなくなったんです。なぜなのかわかりませんが。ごみの分別とかと同じかも。一度分別しだすと、分別しないと落ち着かないってやつw。

 そんなわけで、定年が近づくにつれて調理器具や調味料もだんだん揃ってきました。最初の頃は、「〇〇の素」系の出来合いの調味料とかも結構使っていましたが、現在はほとんど単体調味料を合わせてます。この、調味料を合わせる、ってのがいいんです。自分好みの味にすることもできるし、どんな味になるか探求する楽しみもありますから。この「合わせる」から発展して、日本酒のブレンドなんかも試したりしてました。私は燗酒が大好きで、つまりは安酒で十分派だったので、リーズナブルな紙パック酒をよく買ってました。パック酒でも侮るなかれ、最近の日本酒は美味しいです(燗酒飲みの意見です)。が、やはり、なんかちょっと足りないとかはあって、この酒は辛さがもうちょっとあればなぁ、とか、この酒は味わいを足してほしいとか、思ってたのですが、ある時、そうだ、合わせ調味料じゃないけど、ブレンドすりゃいいわ、と。そうやってブレンドしたパック酒で、私的にはとても満足していた日本酒が、月桂冠の「月」と白鶴の「まる」の半々割でした。名付けて、ブレンド酒「満月」なんちってw。高価なブランド銘酒はさすがにブレンドするのは気が引けますが、パック酒なら気軽に楽しめます。今は、酒量が落ちたのと、紙パックの純米酒の、単体で十分旨いのを見つけたので、そればかり飲んでますが、またそのうちブレンドして吞んでみたいかな。

 話が逸れましたが、最近は、食材を変えてみたり、調味料を加えてみたり、いろいろ試してます。たまに、「うっまっ!」となるととても幸せです。斯様に、自分のために自分で料理を作るという行為であっても楽しいのです。料理に限らず、自分で手を動かし、体を動かし、頭を使ってなにかを作るのは、本来的に楽しいことなのです。定年後こそは、この楽しさを追求することを中心に生きるのが基本だと私は思っています。とはいえ、趣味の作業を除いて、なんでもかんでも自分でやってしまおうとは思いません。料理について言えば、自分で作るのは二品ぐらいです。メイン+汁物、メイン+副菜、あるいは、副菜+汁物、で二品、あとは総菜とか加工食品で補います。これぐらいでちょうどいい。作るのも楽だし、段取りもややこしくならないし、洗い物も少なめです。私の場合、料理は趣味じゃなく、あくまで生活の楽しみの一環です。これでいいのです。これからも、いかに楽をして料理づくりを楽しむかを追求したいと思っています。

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