定年退職後のハロートレーニング

 公的な職業訓練を総称してハロートレーニングというそうで、私が受講したのは、求職者支援訓練になります。「主に雇用保険を受給できない方」対象の部類のようですが、ハローワークが認めれば受給者でも受講できるようで、私もそのケースでした。正直、公共職業訓練と求職者支援訓練の違いがよくわからないです。提供されるコース内容を見た限りでは、公共職業訓練の方ががっつり系っぽい感じはしましたが。

倒木#161228

 前に書いたように、受講したのは、Pythonを中心としたWeb系プログラミングコースになります。ウリは、全くの初心者でもWeb開発ができるようになるという触れ込みのようで、主婦層もターゲットにしてる感じでしょうか。半分テレワークなのもそういうことのようです。残り半分は教室での授業となり、パソコンは一人一台ノートパソコンが貸し出されます。自宅ではこのパソコンでリモート授業を受け、教室では、これに据え置きのモニターを繋げてマルチモニターで受講してました。マルチモニターはあまり使ったことがなかったのですが、これはなかなか良いですね。特にシステム開発とかにはもってこいかな。(ということで、受講期間終了後にモバイルモニターを買ってしまいました。)また、自宅でのテレワーク学習の併用は気持ち的にも楽です。なんていうか、さすがにもう「学生」ではないので、週5日を閉鎖的な教室で勉強するのは精神的にきついものがあります。

 学習プログラムは以下のようなものでした。

  1. タイピング練習(毎日最初の10分間)
  2. HTMLとCSSの基礎(受講期間前半)
  3. Python入門(受講期間前半)
  4. Pythonアルゴリズム問題集(受講期間後半)
  5. SQL(受講期間後半)
  6. Pythonフレームワーク(受講期間後半)

 学習が始まってびっくりしたのは、教科書に沿って一通りのレクチャーが終わったら、また最初から同じ内容を繰り返すことです。それも3回、4回と。事前説明としては、だれでも習得できるように何度も繰り返すとのこと。それは別にいいのですが、最後まで受講してみた経験から言わせてもらえば、最初の方は内容も簡単なので2回反復ぐらいにして、後半の特に難しい部分を何度もしてほしかったですね。とはいえ、まったくの初心者だと、最初で落ちこぼれちゃうとどうしようもなくなるということもあるので、そういう方針なのかもしれません。

 難易度で言うと、2は覚えれば誰でもできるし、3も繰り返し学習で習得できます。4は、3で学んだ内容をネット上のラーニングサイトの問題を解いていきます。受講したコースでは、paizaラーニングというサイトを使っていました。結構使いやすいし、無料でかなりできるのでいいですね。私は今も使っています。こういうのは、一人で取り組もうとすると続かなかったりするんですが、学校で使うようになって慣れて身についてしまうと、そのまま自然と続けられるのがいいです。このような利点は結構いろいろあって、独学よりは学校形式で学ぶメリットを感じました。

 5のSQLについては、前職で散々使ってたので、ここは楽勝でした。しかしながら、このあたりまでくると、共に受講している人の中にはついていけなくなる方も出てました。そして、それは6で決定的となります。いや、私もこれは難儀しました。そもそも、フレームワークなんて今までまったく縁がありませんでしたから、なにがどうなっているのか、わかったような感じで全然わかってない、って状態です。しかも、ここの部分に割く時間が短めで、なので、ここをもっと繰り返し何度もやってほしいと思った次第です。ここが難しいのは、フレームワークの仕組みへのとっつきにくさもありますが、このあたりからオブジェクト指向的なクラスやら承継やらの話が出てきて、あれよあれよともうぐっちゃぐっちゃになるからです。受講してるときは、ほんとなぞるので精一杯という状態でした。

 それでも、一連の訓練として学習に取り組むことで、ぼんやりとはわかるようになって、受講修了後も続けて学習することで、だんだん面白くなってきています。なんせ、無料で訓練が受けられる上に、手当まで支給されて、通常の失業給付金ももらえるわけで、学習に対するモチベーションは極めて高いのです(笑)。難点を上げるとすると、びっちりとカリキュラムが組まれており、また、2割以上欠席すると強制退学となるので、できる限り欠席することなく受講しなければならないことでしょうか。休みを自分で調整することはできないので、正直、会社で仕事している頃より時間制約が厳しいです。興味本位とか何かの足しにとかで受講するようなものではないですね。もちろん、制度自体、そのような方は対象外としています。

 受講修了後の感想ですが、対象者を全くのIT未経験者としていることもあり、受講カリキュラム自体の質はそれなりだと思います。ですが、個人的には「勉強癖」を取り戻せたことが大きいです。会社で仕事しているときも、当然仕事関係のスキルや知識を得るために学ぶことはありましたが、日々仕事に追われている中でやる学びと、学習に特化した学校形式で行う学びとではこれほど違うのかということです。集中度が違うので、学習対象への興味も高まりますし、学習意欲も高く、学び続けることができます。独学では「勉強癖」が付く前にやめてしまうであろうところで、いわば無理やり学習を続けることで、その山を越えることができます。何十年も昔の学生時代以来の学習体験に刺激されて、学習意欲が活性化されたのを実感しました。この体験で学習環境って大事だよなと痛感した私は、受講終了後も続けて学習できる環境を得ることになるのですが、これはまた別の話で書くことにします。

 受講修了後に、そのものズバリのPythonでの仕事に就けたわけではないですが、まぁ、アルバイト的にIT関連の仕事をすることになりましたし、プログラミングを学習したことでIT関連でやってみたいこと(≒遊び半分仕事半分的な)についての見通しもよくなったように思います。いくつか作ってみたいWeb系システムも思い浮かんだので、今は引き続き自己学習を進めています。あと、前回のハローワークの話で、がっつりIT開発系で働きたい人はJavaも含んだコースの方がいいのではと書きましたが、IT関連はほんと初めてというような人は、最終的にがっつり働くとしても、最初はPythonなどの学習しやすい言語を学んで少し自分のものにしてからJavaに取り組む方がいいかもしれません。

 ちなみに、現在の私の学習方針としては、Pythonの復習をしつつフレームワークを使った実践的な学習を行い、Webシステムの開発に取り掛かりたいと思ってます。また、追加学習として、Javascriptを独学中です。これは補助的に使えそうという考えからですが、学習してみるとこれはこれで面白いです。このあたり、違いがわかることでどこに使えそうか見えてくる感じが楽しいのです。さらに、仕事で必要になりそうなPHPも学習予定。このように、まずはひとつプログラミング言語を習得すれば、他の言語もその違いを意識しながら学習できるので面白いです。とはいえ、Javaは別です。今のところかじる程度であってもさわる予定なしです。仕事で使わないのであれば、なかなか取り組むのに躊躇する高難度言語かと思います。(が、いつかは齧ってみたい気はするw)

 さて、かくも時代は変わって、シニアもリスキリングで新たな学びにチャレンジする時代になりました。いやぁ、俺はもうチャレンジとかいいわ、という方も、小銭稼ぎぐらいはしたいという人は、定年退職後のハロートレーニングも一度検討してみる価値はあります。失業給付金を貰いながら受講できますし、受講中の求職活動としては、求人検索だけでいいので気が楽です。もちろん、受講修了後3ヵ月間は、ハロートレーニングの延長として求職活動が要求されますが、漠然と手探り状態で求職するのとは違い、習得したスキルと知識をできるだけ活用する方向で求職活動をするのとでは気分的にもかなり違うのではないでしょうか。などと、わかったようなことを書いてますが、正直ハロワークに行く前は、冷やかし半分、仕事なけりゃないでいいわ、って感じであまり期待もしていなかった私です。まさか、ここまで得るものが多いとはな、というのが、ハローワーク→ハロートレーニングと進んでみた感想です。

 ハロートレーニングについての話は以上なのですが、カリキュラムに組み込まれていたキャリアコンサルティングについて、書いておかねばならない体験をしたので、次回はこれについても書いてみようと思います。

 

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