定年後に家を建てる1 ~実家の片づけ~

 まだ数年は元気だろうと私が勝手に思い込んでいた母親があっさりと亡くなり、ドタバタと葬儀を終え、いよいよ実家の片づけに取り掛かったのが昨年末から年明けにかけてでした。最後は施設に入っていたとはいえ、ほんの2年前ぐらいまでは実家で在宅介護サービスを受けながら生活しており、私も行ったり来たりしていたので、最初のうちは思い出が蘇ってきてなんとも切ない気持ちでした。実家の片づけがなかなかできないという人の気持ちはよくわかります。その家での思い出はもちろん、人が生活していた場所や物から発せられる声のようなものが聞こえてくるようで、片付けようにも手につかないという感じです。とはいえ、私にも残された時間はそんなにはないわけで、ゴミの日の早朝早くに家を出て実家に行き、ゴミ出しを終えてから片づけをして次のゴミの日に出すためのゴミを準備して帰る、というルーティンが始まりました。

プラント #164826

 私の住んでいるところから実家までは、自転車で1時間半ぐらい、バスと電車でもやはり同じぐらいかかりました。往復3時間弱というわけで、結構大変なわけですが、それでも週2回ぐらいは通える範囲でした。なんせ片づけるのは私一人なので、これがもっと遠方だったとしたらとてもじゃないけど半年ちょっとで家の解体までもっていくというのは絶望的だったと思います。ゴミの日に出せる分だけ片付けて帰るというのは、結構ちょうどいい負荷だったと思います。まぁ、冬の寒い日の早朝、実家のゴミ出しの時間に間に合うよう日が昇る前に家を出て向かうのは、つらいといえばつらいですが、暗い堤防を自転車で走っているとこれはこれで気持ちよかったりしました。それと、実家のある自治体では、大型ゴミとか不燃ゴミとかも無料で出せたのはありがたかったです。うちの家のある大阪市は粗大ゴミ不燃ゴミはほとんど有料で、しかも予約しなきゃいけないので、それを思うとほんとにありがたかったです。実は、この自治体の良し悪しも実家を建て替えてそのまま住もうと考えた一つの要素だったりもします。

 ゴミ収集については、有料にはなりますが、収集車に来てもらって一気に回収してもらうことも可能で、実家については昔に一度利用したことがありました。ただ、家の建て替えを前提にした片づけでは、家財を「見切る」ことがポイントとなるわけで、少しづつ掻き出しては中身を確認してゴミ袋に入れていくという作業が適っているわけです。そんなわけで、粛々と片づけとゴミ出しを進めていったわけですが、片付け始めてしばらくして、こりゃなかなか終わらんぞ、と思い始めました。使わなくなった2階は物置状態でぎっしり物が詰まっていて、もちろん、押し入れにもぎっしり詰まっています。おまけにベランダに物置なんぞを作っていて、その中もぎっしりです。それがわかった時点で、これは少なくとも半年はかかると諦念しました。そして、ほどなく衝撃の事実を知ります。なんと実家の家財の半分以上は母親の衣類だという事実を(笑)。もともと裁縫を趣味にしていたこともありますが、押し入れから出てくるのは衣類衣類衣類。タグがついたまま一度も着ていないものもわんさか出てきました。フリマとかで売れば売れるのでしょうが、とてもそんな時間はありません。せめてリサイクルゴミとして出すのが精いっぱいでしたが、月に2回のリサイクルゴミに出しても半年近くかかる量でした。対して父親の衣類はちょろっとあるだけという….(笑)こちらは、使ってないものは持って帰って私が着ることにしました。

 さて、この頃には既に実家を建て替えて住むという考えになっていたのですが、まずは片づけの目途がついてから、建て替えについては検討するつもりでした。今にして思えば、同時並行で家の建て替えについても進めていくべきだったと思います。それほど、家を建てるというのはかなりの負担を伴うものだったわけです。家を建てるかどうか未定の段階であればゆっくり検討というのでもいいかと思いますが、かなりの確度で家を建てることが決まっているのであれば、少しでも早く動く方が余裕をもって家づくりをすることができると今は思います。まぁ、その頃はまだ週に2日働いており、3月にはそれも辞める予定だったので、そこから家づくりを始めようと思ってたのです。つまり、家づくりにかける時間を十分確保してから動くつもりだったわけです。その考え自体は間違っていなかったのですが、今から振り返ると家づくりの特殊性に考えが及んでなかったわけです。ということで、次回は家づくりの特殊性について書いてみようと思います。

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